【基礎心理学編】心理学の種類はどのくらいあるのか?一覧でわかりやすく解説

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心理学と一口に言っても、大きく分けると「基礎心理学」と「応用心理学」の2つに分類され、細かく分類するとその種類は20種類以上にも分けられます。

本記事では、基礎心理学の種類や概要などをわかりやすく解説いたします。

心理学とは?

心理学は英語に訳すと「Psychology(サイコロジー)」です。

Psychologyの語源は、もともとギリシャ語の2つの単語を組み合わせた言葉で、現代においては科学的な手法によって研究される「心」と「行動」の学問とされています。

Psyche(プシュケ):魂、心 + Logos:(ロゴス):学問、科学 = Psychology(サイコロジー)

心理学は、大きく分けると「基礎心理学」と「応用心理学」の2つに分類されます。
それぞれをさらに細かく分けると、20種類以上にもなります。

「基礎心理学」と「応用心理学」

基礎心理学と応用心理学は、それぞれ異なる目的とアプローチを持ちながら、心理学の全体像を構成する重要な柱です。

基礎心理学は理論的な理解を深めることに焦点を当てており、応用心理学はその知識を実際の問題解決に役立てます。
この2つの分野の相互関係を理解し、活用することで、心理学はより効果的で実践的な学問となります。

基礎心理学とは

基礎心理学は、人間の心と行動に関する基本的な原理や法則を研究する学問分野です。

この分野の研究は、理論的な理解を深めることを目的としており、直接的な応用や実践を必ずしも意図していません。基礎心理学の研究は、科学的な方法論に基づいて行われ、実験や観察を通じて得られたデータを分析し、普遍的な心理学的法則を明らかにすることを目指します。

基礎心理学の研究は、純粋に知識を増やすことに焦点を当てているため、科学としての心理学の基盤を形成しています。この分野の研究成果は、応用心理学やその他の応用分野の基礎として利用されることが多く、理論と実践の橋渡し役を果たしています。

応用心理学とは

応用心理学は、基礎心理学の知識と理論を実際の問題解決に応用する学問分野です。

具体的な社会問題や個人の課題に対して心理学的なアプローチを提供し、実生活での改善や効率化を目指します。応用心理学の研究は、多様な分野で実践されており、その範囲は広範囲にわたります。

応用心理学は、実際の問題に対する具体的な解決策を提供するため、実践的な価値が高い分野です。
例えば、臨床心理学では、心理療法やカウンセリング技術を駆使して、個人の精神的健康をサポートします。また、産業・組織心理学では、労働環境の改善や人材管理の効率化を通じて、生産性の向上を図ります。

基礎心理学の種類

心理学は、人間の「心」と「行動」を科学的に理解しようとする学問です。

その中でも基礎心理学は、心理学全体の基盤を形成する重要な分野です。
基礎心理学は、理論的な研究を通じて、人間の行動や精神の基本的な原理や法則を探求します。

基礎心理学の主な種類を詳しく解説し、それぞれの分野がどのように私たちの理解を深め、実社会に応用されているかを紹介します。

基礎心理学

行動心理学とは

行動心理学は、人間や動物の行動を科学的に理解し、改善するための心理学の一分野です。

この分野は、行動の観察と測定に基づいて、どのように行動が形成され、どのように変えることができるかを探求します。教育、治療、ビジネスなど多くの分野で応用されています。

例えば、教育現場では正の強化を使って学習意欲を高め、治療では行動療法を通じて不安や恐怖を克服する手助けをします。
ビジネスの現場でもインセンティブプログラムを利用して、従業員のモチベーションとパフォーマンスを向上させるために活用されています。

行動心理学の知識を活用することで自己理解を深め、日常生活や仕事など他者と関わる様々な場面でとても役に立てることができます。

社会心理学とは

社会心理学は、人間が社会的な文脈でどのように行動し、相互作用するかを研究する心理学の一分野です。

この分野は、個人が他者や集団にどのように影響を受けるか、またどのように社会的認識や態度が形成されるかを探求します。社会心理学の知見は、私たちの人間関係を深く理解し、より良い社会を築くために役立ちます。

例えば、社会心理学は偏見やステレオタイプの形成とその影響を研究します。
これにより、職場や学校での多様性を促進し、公平な環境を作るための具体的な方法を提案することができます。
またリーダーシップやグループ・ダイナミックスの研究は、効果的なチームビルディングや組織運営に役立ちます。

社会心理学の知識を活用することで、人間関係の質を向上させ、コミュニケーションを円滑にし、共同作業を効率的に行うことができます。
これにより、個人の成長だけでなく、社会全体の調和と発展に貢献することができます。

生理心理学(生物心理学)とは

生理心理学は、脳と神経系の機能と人間の行動や心の働きとの関係を研究する心理学の一分野です。

この分野は、神経科学と心理学の橋渡しをし、私たちの思考、感情、行動がどのように生理的プロセスに影響されるのかを探求します。生理心理学の研究は、脳の構造と機能、神経伝達物質の役割、ホルモンの影響などを明らかにします。

例えば、脳波の測定や脳画像技術を用いて、特定の精神状態や行動が脳内でどのように処理されているかを調べることができます。
これにより、うつ病や不安障害などの精神疾患の理解と治療に大きく貢献しています。生理心理学は、日常生活においても非常に役立つ知識を提供します。

ストレス管理や集中力の向上に関する研究は、仕事や学業でのパフォーマンス向上に役立ちます。
また運動や栄養が脳の健康に与える影響を理解することで、健康的なライフスタイルの維持にも役立ちます。

生理心理学の知識を活用することで、自分自身の心と体をより深く理解し、健康で充実した生活を送るための手助けとなります。

認知心理学とは

認知心理学は、人間の心がどのように情報を処理して理解し、使用するかを研究する心理学の一分野です。

この分野は、記憶、注意、知覚、言語、問題解決、意思決定などの認知プロセスを探求します。
認知心理学は、私たちの日常生活に直接関わる多くの重要なメカニズムを明らかにし、学習やパフォーマンスの向上に大きく貢献しています。

認知心理学の研究によって、私たちは記憶の仕組みを理解し、効果的な記憶術を活用して学習効率を高めることができます。

例えば、エビングハウスの忘却曲線を利用することで、定期的な復習の重要性を認識し、長期記憶に情報を定着させることができます。
また認知心理学は、問題解決や意思決定のプロセスを分析し、効率的な思考法や戦略を提供します。
これにより、仕事や日常生活での複雑な問題にも冷静に対処できるようになります。

さらに注意の研究は、集中力を高めるためのテクニックや、マルチタスクの効果的な管理方法を教えてくれます。これにより、忙しい現代社会での生産性を向上させることができます。

認知心理学の知識を活用することで、自身の認知能力を最大限に引き出し、学習や仕事のパフォーマンスを向上させることができます。

発達心理学とは

発達心理学は、人間の一生を通じて心と行動の変化を研究する心理学の一分野です。

この分野は、乳児期から老年期までの各ライフステージでの発達プロセスを探求し、個人の成長や発達に関する理解を深めることを目指します。
発達心理学の研究により、私たちは身体的、認知的、社会的、感情的な成長がどのように進行するかを理解することができます。

例えば、乳児期の脳の発達や思春期の情緒的変化、高齢者の認知機能の変化など、各段階での特有の発達課題とその解決方法を知ることができます。この知識は、教育や育児、心理療法などの実践において非常に役立ちます。

また子どもの発達段階に応じた効果的な教育方法を用いることで、学習効果を最大化することができ、高齢者の認知症予防や介護の方法にも応用され、生活の質を向上させる効果が期待できます。

学習心理学とは

学習心理学は、人間や動物がどのように新しい行動や知識を習得するかを研究する心理学の一分野です。

この分野は、教育やトレーニング、行動療法など多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。
学習心理学の中心には、いくつかの主要な理論があります。

古典的条件付け、オペラント条件付け、観察学習の3つが代表的です。
古典的条件付け:パブロフの犬の実験で知られるように、特定の刺激と反応の結びつきを学習する過程を説明します。
オペラント条件付け:スキナーの研究に基づき、行動がその結果によって強化されるか弱化されるかを示します。
観察学習:バンデューラの社会的学習理論に基づき、他者の行動を観察し、それを模倣することによって学ぶプロセスを説明します。

これらの理論は、教育現場での効果的な学習方法の設計に活用されます。
例えば、正の強化を用いた教育プログラムや、モデルとなる行動を示すことで学習を促進する方法などがあります。
また学習心理学の知識は、行動療法にも応用され、問題行動の修正や新しいスキルの習得に役立ちます。

学習心理学の理解を深めることで、自分自身の学習プロセスを改善し、より効率的に新しい知識やスキルを身につけることができます。

人格心理学(性格心理学)とは

人格心理学は、人間の性格特性や個人差を研究する心理学の一分野です。

この分野は、私たちの思考、感情、行動における一貫したパターンを理解し、人格がどのように形成され、変化するのかを探求します。
人格心理学の知見は、自己理解や他者理解を深め、より良い人間関係を築くために役立ちます。

人格心理学の中心には、いくつかの主要な理論があります。
代表的なものにビッグファイブ理論があります。これは、外向性、神経症傾向、誠実性、協調性、開放性の5つの主要な性格特性を分析し、個人の人格を評価するものです。これらの特性は、人々の行動や生活のさまざまな側面に影響を与えます。

人格心理学の研究によって、私たちは自分自身の強みや弱みを認識し、効果的に自己改善を図ることができます。
また他者の人格特性を理解することで、コミュニケーションを円滑にし、チームワークやリーダーシップの向上にもつながります。さらに、人格心理学は、カウンセリングや職業適性の評価など、実生活にも広く応用されています。

例えば、性格テストを通じて、自分に最適な職業を見つけたり、対人関係のストレスを軽減する方法を見つけることができます。

人格心理学の知識を活用することで、自己理解を深め、他者との良好な関係構築に役立つでしょう。

知覚心理学とは

知覚心理学は、人間がどのようにして外界の情報を受け取り、それを解釈するかを研究する心理学の一分野です。

この分野は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚器官がどのように機能し、その情報が脳でどのように処理されるのかを探求します。
知覚心理学の知見は、私たちの世界の理解を深め、日常生活を豊かにするための鍵となります。

知覚心理学の研究は、私たちがどのようにして物体の形や色、音の高さや強さを認識し、さらには時間や空間の感覚を形成するのかを明らかにします。

例えば、視覚に関する研究は、私たちが複雑なシーンをどのように分解し、理解するかを示します。この知識は、デザインや広告、ユーザーインターフェースの改善など、さまざまな分野で応用されています。

また知覚心理学は錯覚や錯視の研究も行います。これにより、私たちの脳がどのように情報を処理し、時には誤った解釈をするかを理解することができます。これらの研究は、教育やトレーニングプログラムの設計にも役立ち、学習効果を最大化するための手段を提供します。

知覚心理学の知識を活用することで、感覚と知覚の仕組みを理解し、日常生活の中でよりよく情報を活用することができます。

神経心理学とは

神経心理学は、脳の機能と人間の行動や精神の関係を研究する心理学の一分野です。

この分野は、脳の構造や働きがどのように思考、感情、行動に影響を与えるかを探求します。
神経心理学の知見は、私たちの自己理解を深め、健康で充実した生活を送るための重要な手掛かりとなります。神経心理学の研究では、脳損傷や神経疾患がどのように人間の行動や認知機能に影響を与えるかを詳しく調べます。

例えば、脳の特定の部位に損傷を受けた患者のケーススタディを通じて、その部位がどのような役割を果たしているのかを明らかにします。
これにより、記憶、注意、言語、問題解決などの認知機能のメカニズムを理解することができます。
さらに神経心理学は脳の健康を維持し、神経疾患を予防するための効果的な方法を提供します。

例えば、認知症の早期発見や治療、脳卒中からの回復をサポートするリハビリテーションプログラムの開発などがあります。

神経心理学の知識を活用することで、脳の働きをより深く理解し、日常生活の中で脳を最大限に活用することができます。
この学問は、自己改善やパフォーマンス向上に役立つだけでなく、他者の理解や支援にも役立ちます。

言語心理学とは

言語心理学は、人間の言語に関する心理的プロセスを研究する心理学の一分野です。

この分野は、言語の理解、生成、獲得、使用に関わるメカニズムを探求します。
言語心理学の知見は、コミュニケーションの向上、教育、言語障害の治療などに役立ち、私たちの日常生活をより豊かにします。
言語心理学は、私たちがどのようにして言葉を学び使い、理解するのかを解明します。

例えば、子どもがどのようにして母語を習得するか、大人が第二言語を学ぶ際のプロセス、会話の中でどのように言葉が選ばれ、組み立てられるかなどが研究対象です。これらの知識は、効果的な教育法の開発や多言語教育の向上に大いに貢献します。
また言語心理学は、言語障害の診断と治療にも重要な役割を果たします。

例えば、失語症や発達性言語障害などの言語障害に対する効果的な治療法を提供し、患者のコミュニケーション能力の改善を支援します。

言語心理学の知識を活用することで、コミュニケーション能力を向上させ、異文化間の理解を深めることができます。
そして言語学習におけるモチベーションを高め、より効果的に新しい言語を習得することも可能になります。

数理心理学(計量心理学)とは

数理心理学は、心理学の理論やデータを数学的なモデルや手法を用いて分析する心理学の一分野です。

この分野は、心理現象を定量的に捉え、より正確で予測可能な形で理解することを目指します。
数理心理学の知見は、認知や行動のメカニズムを解明し、さまざまな分野での応用を可能にします。

数理心理学の研究は、意思決定、学習、記憶、感情などの心理プロセスを数式やモデルで表現し、その動作をシミュレーションや解析によって理解します。

例えば、意思決定理論では、人間がどのように選択肢を評価し、最適な選択を行うかを数理モデルで説明します。この知識は、経済学やマーケティングなどの分野で活用され、より効果的な戦略を立てるために役立ちます。

また数理心理学は、教育やトレーニングの分野でも重要な役割を果たします。
学習の過程をモデル化することで、効果的な学習プログラムの設計や学習成果の予測が可能になります。これにより、教育現場での学習効果を最大化する方法を見つけ出すことができます。

数理心理学の知識を活用することで、複雑な心理現象をより深く理解し、実社会での応用を通じて問題解決能力を高めることができます。

異常心理学とは

異常心理学は、心の健康や行動に関する異常や障害を研究する心理学の一分野です。

この分野は、精神疾患の原因、症状、診断、治療を探求し、個人の生活の質を向上させるために重要な役割を果たします。
異常心理学の知見は、私たちが健康的な精神状態を維持するために役立ちます。

異常心理学の研究は、うつ病、統合失調症、不安障害、双極性障害、パーソナリティ障害など、さまざまな精神疾患を対象とします。
これらの疾患のメカニズムを明らかにすることで、効果的な治療法や介入方法が開発されます。

例えば、認知行動療法(CBT)や薬物療法は、多くの精神疾患に対して高い効果を示しています。

また異常心理学は、精神疾患の予防や早期介入にも焦点を当てています。
精神疾患のリスク要因を特定し、早期に対処することで、疾患の進行を防ぎ、より良い結果を得ることができます。これは個人だけでなく、家族や社会全体にとっても大きな利益となります。

異常心理学の知識を活用することで、精神的な健康を維持し、困難な状況に対処する力を養うことができます。

まとめ

心理学と一口に言っても、その内容によって細かく分類されます。
基礎心理学の中で、自身の興味があるのは、どの心理学の分野かわかりましたか?
本記事の内容が、最後まで読んでいただいた皆さんの、心理学検定試験の勉強のお役に立てれば幸いです。